研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、重力崩壊型超新星の44Tiの合成量を調査することで、爆発モデルに伴う元 素合成過程を明らかにすることであり、その実現のために、実験・観測の両面から研究を行った。本年度の研究成果を以下の3つに分けて記す。(I) 2016年に打ち上げられたひとみ衛星の軌道上キャリブレーションと観測研究を行った。ひとみ衛星に搭載された超精密X線分光システムは、Cassiopeia A内の44Tiが崩壊した後の44ScからのX線輝線検出が期待されていた。しかしながら、Cassiopeia A の観測前に運用停止となってしまったため、他の重力崩壊型超新星の残骸である、カニ星雲、G21.5-0.9、N132Dの観測研究を行った。カニ星雲では、爆発噴出物由来の熱的X線放射をこれまでにない精度で上限値を決める事に成功し、その爆発起源の推定を行った。N132Dに関しては、爆発噴出物の鉄が偏った方向に飛び交っている事を初めて示し、爆発の非対称性を議論する事が出来た。観測結果は、査読論文としてPASJから出版された。(II) Cassiopeia A は重力崩壊型超新星であり、本研究の鍵を握る44Tiからの崩壊ガンマ線が硬X線観測で発見されている数少ないサンプルである。今年度私は、この天体内の衝撃波で加速された宇宙線電子からの非熱的放射に着目した研究を行った。本研究では逆行する衝撃波に着目し、通常の前進している順行衝撃波よりも、それらの衝撃波速度が早くなっていることを観測的に初めて明らかにした。この結果は、査読論文(主著)として、APJ誌に掲載された。(III) Ia型超新星残骸ティコ、ケプラーの膨張速度をドップラー効果を用いる事で測定することに成功し、その三次元的な空間構造に迫る研究を行った。結果として、ティコとケプラーではそれぞれ対称、非対称な膨張であることがわかって来た。これらの研究内容は、それぞれ2本の査読論文(主著)として、APJ誌に掲載された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 9件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件)
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