本年度は当初からの予定を変更し、24Mgのクラスター状態のアイソスカラー型単極・双極遷移を用いた探索を行った。その結果として以下の成果が得られた。
1. アイソスカラー型双極遷移によって生成される状態のクラスター構造の解明:反対称化分子動力学を用いて1-状態の励起スペクトルの数値計算を行い、スピンパリティ1-を持つ20Ne+αクラスター状態が20Ne+α崩壊閾値に近傍に現れることを示した。更にアイソスカラー型双極遷移によって1-を持つ20Ne+αクラスター状態が強く生成されることも明らかになった。この状態はアイソスカラー型単極遷移によって生成される0+の20Ne+αクラスター状態の反転二重項パートナーであることがわかった。その一方で0+の12C+12Cやα+16O+α直鎖クラスター状態のエネルギー近傍にはアイソスカラー双極遷移によって強く生成される状態がないことも示した。 2.24Mgの励起状態のα崩壊幅評価:前年度に開発したLaplace展開法をこれまでの研究で得られた0+状態、1-状態の固有波動関数に適用することで24Mgの励起状態のα崩壊幅を評価した。これにより、1)反対称化分子動力学で予言された12C+12C状態のα崩壊幅は非常に小さい一方、2)α+16O+α直鎖クラスター状態のα崩壊幅が非常に大きいことを示した。また、20Neの基底状態へのα崩壊のみならず、その回転励起状態へのα崩壊の幅も大きいことを示した。
以上の成果をまとめ、1篇の誌上論文として投稿予定である。
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