研究課題
特別研究員奨励費
ロシア・バイカル湖生態系の高次に位置するバイカルアザラシ(Pusa sibirica)は、食物連鎖を介して体内に様々な残留性有機汚染物質(POPs)を高蓄積している。一部のPOPs や環境汚染物質は、ER(エストロゲン受容体)を介して内分泌撹乱作用を示すことから、 野生生物への影響が危惧されている。しかしながら、これらの化学物質によるバイカルアザラシERシグナル伝達経路への影響に関する知見は欠如している。また、ERによるリガンドの構造選択性や、リガンドによるER活性化の分子機序には依然として不明な点が多い。本研究では、多様な環境汚染物質によるバイカルアザラシ内分泌系かく乱の統合的なリスクについて評価することを目的とする。ER転写活性化能を評価した結果、環境汚染物質の多くが単独ではパーシャルアゴニストとして作用することが分かった。一方、内因性リガンドである 17β エストラジオール(E2)と共処理した場合、相加・相乗作用を示す化学物質、拮抗作用を示す化学物質が存在することが示された。しかしながら、内因性リガンドとの複合曝露によって化学物質が性ホルモン受容体に作用する分子メカニズムについては未解明である。そこで今年度は、「エストロゲンと環境汚染物質複合曝露によるエストロゲン受容体シグナル伝達系かく乱の分子メカニズム解明」に取り組んだ。具体的には、CRISPR‐Cas9システム(ゲノム中で任意の領域を切断できる遺伝子改変ツール)を用いて ヒト乳腺癌由来であるMCF-7細胞のヒトERαノックアウト細胞株の作製を試みた。その結果、片アレルに 123塩基の欠損が存在する細胞を作製することができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Environmental Science and Pollution Research International
巻: 1 号: 17 ページ: 1-9
10.1007/s11356-017-9498-z