研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、力学的シグナルによる細胞機能の変化(力覚応答)におけるRhoシグナルや細胞骨格の役割やその制御機構の解明を目的とする。私は本学振研究の期間を通じてRhoA-GEFであるSoloについて、上皮細胞の接着や形態形成に対する役割に着目するとともに、Soloを介した細胞骨格制御と力覚応答の分子メカニズムの解析に重点を置き研究を行ってきた。本年度は研究の拠点をドイツ・ライプツィヒ大学Thomas Magin研究室に移し、ケラチン中間径フィラメントの解析についても力を入れた。以下に、今年度得られた主要な研究成果を記載する。1. 三次元環境下における上皮形態形成に対するSoloの関与上皮形態形成モデルとして、ヒト乳腺上皮由来MCF10A細胞の腺房形成を三次元培養で誘導して実験に用いた。腺房形成過程ではヘミデスモソーム(上皮細胞特異的な細胞-基質間接着)形成が重要であると知られている。これらの過程におけるSoloの関与を検証した結果、SoloがMCF10A細胞のヘミデスモソーム形成および腺房形成に必要であり、特に増殖や極性化などの重要な過程に関与することを明らかにした。2. Soloを介した細胞骨格制御と細胞-基質間接着部位における力の発生Soloを介した細胞骨格制御と力覚応答を結びつける分子メカニズムを理解するために、Soloとケラチンの相互作用が細胞の発する力に対する影響を検証した。その結果、細胞が細胞-基質間接着部位に発する力はケラチンとの結合を一部欠くSoloの変異体の発現細胞では有意に低下することを見出し、Soloとケラチンの完全な相互作用が細胞の力の発生に重要であることが分かった。細胞の力覚応答におけるケラチン中間径フィラメントの重要性およびSoloを介したその制御の分子メカニズムを新規に解明したものである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件) 備考 (2件)
Genes Cells
巻: 印刷中 号: 5 ページ: 390-402
10.1111/gtc.12682
PLOS ONE
巻: 印刷中 号: 4 ページ: e0195124-e0195124
10.1371/journal.pone.0195124
J. Biochem.
巻: 161 ページ: 245-254
10.1093/jb/mvw082
40021162023
生化学
巻: 88 号: 4 ページ: 443-451
10.14952/SEIKAGAKU.2016.880443
40020948061
http://mbm.me.es.osaka-u.ac.jp