研究課題
特別研究員奨励費
(1) BP誘導体を用いたOTFTの作製と移動度向上通常テトラベンゾポルフィリン(BP)は有機溶媒に対して不溶であることから,可溶性熱前駆体(CP)をスピンコートし,基板を加熱することでBP薄膜へと変換させOTFTを作製する.しかし,この手法ではBPの分子配向を制御できず、その正孔移動度(μ)も0.1 cm2/Vs程と低い.そこでBPの5,15位に置換基を導入した可溶性BP誘導体(TIPS-BP)を用いてディップコート法によりOTFTを作製したところ,規則的に分子を配列されることに成功し,μ = 1.1 cm2/Vsを達成した.この値はBPまたはその誘導体の最高値である.さらに移動度を向上させるため,シリル基のアルキル鎖を変化させた材料(A)を合成した.初期評価としてディップコート法によりOTFTを作製したところ,最高でμ= 2.8 cm2/Vs,平均でμ= 1.4 cm2/Vsと移動度をさらに向上させることに成功した.(2) 高い開放電圧を示すBP誘導体の合成とOPVへの応用BPと一般的なn型材料であるPC61BMを用いたOPV素子の開放電圧(VOC)は0.6 V程であり,最新の10%を超える低分子系OPV材料のVOC(0.9~1.0 V)と比較して低い.これは,BPの高いHOMO準位(-4.9 eV)に起因している.そこで,BPのHOMO準位を低下させ,OPVのVOCを向上させることを目指し,BPの5,15位に強い電子求引基であるトリフルオロメチル基を導入したBP誘導体(CF3BP)の合成を行った.CF3BPはBPと比較してHOMO準位が0.4 eV低下していることが大気下光電子分光法から明らかとなった.そこで初期評価として,pn型OPV素子の作製・評価を行った結果,CF3BPを用いたOPV素子のVOCは0.96 Vと高い値を示した.今後,pin型OPV素子への応用を行うことで,高い変換効率が期待できる.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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ACS Appl. Mater. Interfaces
巻: 9 号: 9 ページ: 8211-8218
10.1021/acsami.6b13988