研究課題
特別研究員奨励費
本研究では高い安定性を有する渦電流磁気指紋法を用いて残留応力・残留ひずみの新しい非破壊評価手法を提案し、様々な材料因子の中から残留応力・残留ひずみ情報のみを抽出する評価手法の有効性を検証する。昨年度において、残留ひずみ0%から2%程度の渦電流磁気指紋について詳細な検討を行った。その後、残留ひずみが2%以下の比較的小さなひずみ領域では試験片内部の転位密度は大きく増加しないこと、試験に用いた炭素鋼はフェライト相-パーライト相の2相組織構造であり、単軸引張試験後のフェライト相に圧縮残留応力が発生していることを考慮して、残留応力が渦電流磁気指紋に及ぼす影響について調査を行った。弾性引張応力を与えながら渦電流磁気指紋の測定実験を行った結果、渦電流磁気指紋は引張応力の増加に伴って変化を示し、応力除荷すると引張前の状態に戻ることを明らかにした。従って、ひずみ付与による渦電流磁気指紋の変化の原因は引張試験により生じた圧縮残留応力である可能性を示すとともに、渦電流磁気指紋による残留応力評価の可能性を示した。また残留ひずみにおいては、渦電流磁気指紋のループ面積を使用することで定量的評価が可能であることを示した。平成28年度に渦電流磁気指紋のメカニズムを解明するための解析コードの構築に取り組んだが、印加磁場で変動する等価導電率モデルの物理的な説明が困難であった。そこで、磁性体の磁壁周辺に流れるミクロ渦電流が導電率変化に寄与していると推察し、磁壁周辺に流れるミクロ渦電流を考慮した構成関係式を支配方程式に導入して新たに解析を行った。解析結果と実験結果を比較した結果、ミクロ渦電流の効果を表す追加項の係数が印加磁場および残留ひずみにより変化することを明らかにすることで渦電流磁気指紋のメカニズムの一部が解明された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 7件)
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