時間分解測定によるエンタングルメントスワッピング実験について国内外で学会発表し、論文を英国光学会の学術誌Optics Expressに投稿した。以下では、Ca+イオンからの発光光子の通信波長帯への波長変換実験の研究実績について述べる。 Ca+イオンからの発光光子(866nm)を通信波長帯(1530nm)へ波長変換するためには波長1995nmの励起光が必要である。本研究では、波長866nmと波長1530nmの外部共振器半導体レーザ(ECDL)の出力光を周期分極反転ニオブ酸リチウムに導波路(PPLN/W)に結合させ、差周波発生(DFG)行うことで波長1995nmの変換光を得る。申請者はまず、そのために必要な波長866nmのリトロー型ECDLを共同研究機関である情報通信研究機構の未来ICT研究所にて作成した。 次に、 C-bandのECDL(既製品)の出力光(1530nm)をファイバ光増幅器(FA)で増幅したものと、今回作成したECDLの出力光(866nm)を合波してPPLN/Wに結合させることで、DFGを行い、波長1995nmの変換光を得ることに成功した。 9月3日~18日の日程でSussex大学のM. Keller先生の研究室を訪れディスカッションを行った。Sussex大学のイオントラップグループはシングルモードファイバにCa+イオンからの発光光子を結合させることに成功している。議論の結果、申請者たちが作成した波長変換器は発光光子の波長変換を観測するのに十分なスペックであると考えられるので、平成29年度中に波長変換器を持ち込んでCa+からの発光光子の通信波長帯への波長変換実験を行う予定である。 波長変換実験の進捗については、5月に行われる量子情報技術研究会で共同研究者がポスターにて発表する予定である。
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