研究課題
特別研究員奨励費
ピロールイミダゾールポリアミド(PIP)を用いたKRAS変異特異的に標的可能な分子標的薬の候補化合物であるKR12について、膵臓癌における薬理作用を検討した。また薬物動態についてFITC標識KR12(KR12-FITC)を含むFITC標識PIP化合物での動態解析を行った。昨年度にKRAS G12D変異を有する膵臓癌自然発生マウスモデルに対してKR12の抗腫瘍効果を認めており、当年度では、KR12がヒト膵臓癌において抗腫瘍効果を有するか否かをヒト膵臓癌細胞を用いて大学院修士学生と共に評価した。その結果、in vitro及びin vivoで対照群と比較して腫瘍増殖が抑制され、ヒト膵臓癌に対してもKR12が抗腫瘍効果を持つことが示唆された。膵臓癌自然発生マウスモデル(n=1)においてKR12-FITCの腫瘍集積性と体内動態を解析した。KR12-FITCを腹腔内投与し、24時間後の腫瘍及び正常臓器の蛍光を観察した結果、腫瘍集積性が観察され、腫瘍組織内の細胞核内に局在していた。本実験はn=1で行ったため追試実験が必要であるが、膵臓癌自然発生マウスモデルにおいてKR12-FITCの腹腔内投与が腫瘍集積性を持つ可能性が示された。PIPの主たる構成成分であるN-methylpyrrole(Py)とN-methylimidazole(Im)の比がPIPの腫瘍集積性に与える影響を大腸癌細胞を用いて検討した。その結果、すべてのPIPにおいて腫瘍集積性が観察されたが、Im対Py比によってPIPの脂溶性が異なり正常臓器の分布と腫瘍への貯留時間が変化した。したがってImとPyの組み合わせがPIPの脂溶性を変化させ、その腫瘍組織への貯留性と体内動態を制御しうる可能性が示唆された。この研究内容はBioorganic & Medicinal Chemistryに投稿し2018年3月17日に受理された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bioorganic & Medicinal Chemistry
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