研究課題
特別研究員奨励費
本研究では,発散磁場中におけるイオン静電加速メカニズムの解明とその宇宙推進への応用を目的としている.前年度実施した放電室内部におけるプローブ診断結果に基づき,本年度は陽極近傍からの推進剤供給とこれによる電離促進効果が推力値ならびに推力性能に与える影響を調査した.まず初めに上記効果の実証機を製作しプローブ診断を実施した.ここでは上流部の陽極と下流部の陰極との間にソレノイドコイルを用いて発散磁場を印加し,陽極近傍の磁場強度を局所的に強化することで,陽極近傍でのイオン生成が促進された結果,印加電圧相当のエネルギーまでイオンを加速することができた.この時,発散磁場中には放電室壁面から遠ざかる向きに加速電解が誘起されることからイオンの壁面への衝突が緩和され推進機の損耗低減が期待できる.本成果をJournal of Applied Physicsにて発表した.続いて,推力性能取得のため,分解能0.2mNを有する重力振り子式スラストスタンド新規製作した.推進機への磁場印加には永久磁石と電磁軟鉄とからなる磁気回路を用いることで推進機重量を3kg程度に抑え,スラストスタンドによる推力計測を可能にした.陽極近傍の磁場強度は局所的に増加され,推進機下流部では電磁軟鉄により磁力線を大きく湾曲することで磁気カスプを形成した.本磁気化スプ位置に陰極を設置し,陽極-陰極間の直流放電により陽極近傍から供給されたアルゴン推進剤の電離・静電加速を試みた.2.2kWの電力を投入した結果,推力38mNであった.この時推力効率は22%となり,従来のアルゴン推進剤を用いた静電加速機と同等以上の性能を達成した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Applied Physics
巻: 122 号: 4 ページ: 043302-043302
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Acta Astronautica
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Applied Physics Letters
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