研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、抱擁型コミュニケーションメディア(ハグビー)を使った抱擁対話がもたらす話への集中効果の生起条件や学習への影響を詳細に調査することで、聞くことを促進するメカニズムの理解と集団授業時の児童の話を聞く能力の支援とそれに伴う学力向上を目指している。今年度は、昨年度の成果を踏まえ、ハグビーの読み聞かせシステムの改良、読み聞かせシステムの効果の計測として傾聴内容に対する記憶率やその変位の調査を行った。1年目の事例研究により、音質の低さや準備の手間がかかることが、本システムの問題点として、インタビューなどからわかってきた。これらの問題点を解決するために、通信方法として、ラジオ電波ではなく、WIFI通信を利用した読み聞かせシステムの開発を行った。また、1年目の事例研究により、ハグビーは児童の聞く行動を促すことが示された。しかし、確認できたのは聞く姿勢の維持であり、聞けている内容の量の変化は観測できていない。そこで実際にハグビーを学校授業に長期的に導入し、傾聴内容に対する記憶率とその変位を確認した。その結果、傾聴内容に対する記憶率がハグビーを使用した場合において、使用しない場合より有意に高いことが示された。さらに、興味深いことに、情動制御に課題を抱える児童に対して大きな効果(記憶率が2倍になる)が見られた。そのことから、本システムは児童の情動に働きかけることで、傾聴の支援を行っていることが推察できる。以上のことから、抱擁型コミュニケーションメディアは、情動支援を通して、児童の傾聴行動を支援し、学習支援につながる可能性が示された。今年度成果は、論文誌Computer in Human Behaviorに投稿中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Psychology, section Human-Media Interaction
巻: vol. 7, no. 510 ページ: 1-10
10.3389/fpsyg.2016.00510
https://www.youtube.com/watch?v=dJBIc5iiS6k