研究課題
特別研究員奨励費
ガスタービンエンジンにおいてごく最近顕在化しつつある吸気や燃料に混入した微小な無機不純物(CMAS)による遮熱コーティング(TBCs)の損傷(CMAS損傷)に焦点を当て,耐CMAS特性を向上させた新規TBCsの開発ならびにCMAS損傷の防止策の確立を目的とし,基本的CMAS損傷発達挙動を調査するとともに,CMAS損傷を非破壊的に検出する手法を探求した.まず,提案CMAS損傷再現試験を介して,大気プラズマ溶射(APS)もしくは電子ビーム物理蒸着(EB-PVD)によって成膜したTBCs試験片における基本的CMAS損傷発達挙動を調査した.その結果,CMAS損傷は,トップコート気孔中へのCMASの浸入とCMAS/トップコート材の材料的反応を伴って進行し,トップコートの組織変化および相変態,熱成長酸化物(TGO)の成長の促進,さらには,トップコートのはく離を誘発することを明らかにした.一連の損傷発達速度はトップコートの成膜方法と成膜条件に強く依存した.特に,CMASの浸入速度,トップコートの組織変化領域の拡大速度およびTGOの成長速度はAPSトップコートよりもEB-PVDトップコートのほうが著しく速いことを実験的に示した. 以上の知見をもとに,CMAS損傷を非破壊的かつ簡便に評価する手法を検討した.その結果,LCRメーターを用いてTBCs試験片の静電容量を測定することにより,CMASの浸入とそれに伴う内部はく離き裂の検出が可能であることを実験的に示した.また,一連の静電容量変化は,コンデンサモデルを用いた解析的検討によって電気工学的にも合理的であることを示した.このモデルによれば,予めTBCs部材の静電容量を測定しておくことで,CMAS損傷を定量的に非破壊測定できることも示した.以上の成果は,CMAS損傷の防止・軽減技術の確立に向けて重要な指標を与えるものと期待される.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
材料
巻: 66 ページ: 80-85
130005240491
Mechanical Engineering Journal
巻: 3 号: 6 ページ: 1-10
10.1299/mej.16-00280
130005250628
Mechanical Engineering Letters
巻: 2 号: 0 ページ: 16-00240-16-00240
10.1299/mel.16-00240
130005156298