研究課題
特別研究員奨励費
本研究は分裂中期における紡錘体の形態安定性のメカニズムを、紡錘体の骨格である微小管に対し、紡錘体内で発生する力に着目し、明らかにすることを目的とする。本年度は、昨年度までに得られた実験データについて、解析手法の検討を行った。本実験では、アフリカツメガエル卵抽出液中で形成した中期紡錘体に対し、微小なガラス針を任意の位置に挿入し動かすことで、負荷を与え、それに対する微小管の移動応答の観察を行った。微小管の移動応答は、微小管中に導入した蛍光チューブリンの輝点を、共焦点顕微鏡を用いて蛍光観察することで行った。各輝点の移動応答を、紡錘体全体の移動応答からの差として解析を行ったところ、微小管はそれぞれ負荷に対し異なる応答性を持っていることが明らかとなった。今後はこの応答性の違いがどのような分子に起因するものであるかを明らかにする予定である。さらに、本年度は以下の研究を並行して行った。①分裂後期における遺伝情報の正確な分配に必須である、姉妹染色体間の接着の解消について、微小ガラス針を用いた紡錘体の顕微操作手法を用いて、接着解消の力学特性の解析を行った。本研究成果については、論文投稿準備中である。②アフリカツメガエル卵抽出液は、細胞周期制御や染色体複製等の研究に広く使用される基盤ツールであるが、凍結により活性が大きく失われることから、長期の保存ができないという問題があった。そこで、凍結工程の前に新たに卵抽出液中の水分の分画工程を加えることで、卵抽出液の活性を保持したまま長期保存が可能な凍結手法を新たに開発した。本研究成果は、論文として発表を行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
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巻: 印刷中