研究課題
特別研究員奨励費
当該年度では、スピン三重項超伝導体の候補物質ルテニウム酸化物またはその他候補物質の磁場下における物理量の振る舞いを明らかにするための理論研究を行った。特に、スピン三重項カイラルp波またはヘリカルp波超伝導対称性といったトポロジカルに特別な超伝導状態を想定し、その超伝導対称性を反映した磁場下の超伝導状態として多成分渦糸状態に注目した。そして、多成分渦糸状態おける物理量がどのような振る舞いとなるかを数値計算によって探索した。また、これらトポロジカル超伝導体の磁場下の性質を明らかにすることは、トポロジカル超伝導体の工学的な応用へと繋がるだけなく、素粒子物理学でも盛んに研究が行われているマヨラナ準粒子の性質を明らかにする上でも重要な課題となっている。以下では、具体的な研究成果について記述する。本研究では渦糸格子状態を想定した準古典アイレンバーガー方程式を解くことによって物理量の空間・磁場依存性の振る舞いを定量的に算出した。特に、研究成果が得られたものとしては局所的な核磁気緩和率と局所状態密度の2つに関するもので、両物理量が特殊な空間または磁場依存性を示すことを明らかにした。また、局所的な核磁気緩和率に関しては、カイラルp波またはヘリカルp波超伝導体の多成分渦糸状態における局所的な核磁気緩和率の空間・磁場依存性がパルス磁場の向きに依存して大きく値を変化させることも示した。局所状態密度に関しては、ヘリカルp波超伝導体の多成分渦糸状態において、渦糸内部の局所状態密度がスピン偏極することを明らかにした。このスピン偏極した局所状態密度の振る舞いは、スピン偏極STM/STS測定によって測定できる可能がある。加えて、本研究で明らかにした特殊な物理量の振る舞いは、マヨラナ準粒子状態と関係しており、これら特徴的な振る舞いを観測することはマヨラナ準粒子の実験的な理解を推し進めるものである。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review B
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