異なる領域のデータを組み合わせることで新たな知識を獲得し、新規ビジネスの創出や価値の創造という潜在的な可能性に期待は高まっている。組織内・外で蓄積した保有データを活用し、新事業の創出や既存サービスの付加価値向上の動きや取り組みを始めている企業も出てきている。一方で、データをどう使っていいのか分からない、データを使うことによりどのような問題が解決可能であるのか、というデータ利活用知識を構造化し再利用する仕組みは十分ではない。データ駆動型イノベーションの促進には、データ市場の仕組みを理解するとともに、利用価値のあるデータの利用方法を知り、どのような仮説が検証可能かということを議論するプラットフォームと、データ利活用知識を蓄積し再利用する技術が必要となる。 本研究では、データ市場の仕組みとデータ利活用方法の検討による価値化プロセスを理解し、提案手法の有用性を評価するため、実際のデータ市場に参画するステークホルダー(実業家、研究者、分析者など)を参加者とした実験的データ市場を設計した。そして、データ市場に関わる様々なステークホルダーの意図や目的が反映される要求とデータ利活用案をデータ利活用知識として構造化し、ステークホルダー間の創造的コミュニケーションによるデータ価値化とデータ市場創出を支援する技術を開発した。 平成28年度に全18回のデータ利活用方法検討ワークショップを実施。研究成果の一部は、英文ジャーナル論文3件、和文ジャーナル論文1件及び3件の査読付き国際学会にて発表。平成28年度の東京大学大学院工学系研究科長賞(社会貢献)を受賞。東京大学大学院リーディングプログラム「社会構想マネジメントを先導するグローバルリーダー養成プログラム(GSDM)」にてGSDM Student Leadership Awardを受賞。平成29年3月に博士課程修了。
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