研究課題
特別研究員奨励費
当該年度は,研究計画に沿って正常前十字靱帯(ACL)と再建ACLの変形挙動解析を行った.解析には,前年度に引き続き,本研究室で開発した関節力学試験ロボットシステムとRotational Stereoscopic Image Methodを用いた.試料は,未固定凍結人体標本を用いた.再建ACLに関しては,骨付き膝蓋腱を用いた解剖学的長方形骨孔(ART)再建術により再建されたACLとした.ART再建術は,骨付き膝蓋腱の骨片と大腿骨・脛骨に開けた骨孔をそれぞれ長方形に成形することで,正常ACLの持つねじれを再建ACLにも持たせることのできる最新の解剖学的再建術である.正常膝およびART再建術による再建膝それぞれに対して前方力100 Nを負荷する前方力負荷試験を行い,その際の両ACLの変形挙動を解析した.その結果,伸展位から軽度屈曲位では両者の変形挙動は類似していたものの,屈曲位においては異なっていた.変形挙動が異なるということは,組織の荷重伝達状態が異なるということである.再建ACLは,正常ACLの力学機能を再現する必要があるため,その荷重伝達状態が異なるということは問題である.しかしながら,ACLに最も負荷がかかるのは,伸展位から軽度屈曲位であるため,その肢位での荷重伝達状態が再現されている点ではART再建術の有用性を示しているといえる.本研究は,ART再建術の有用性を示す一方で,最新術式をもってしても屈曲位でのACL機能再建に課題が残ることも浮き彫りにした.本結果は,今後の再建術開発改善に非常に有用なデータとなるはずである.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本臨床バイオメカニクス学会誌
巻: 38 ページ: 61-67
Journal of Biomechanical Science and Engineering
巻: 12 号: 1 ページ: 16-00582-16-00582
10.1299/jbse.16-00582
130005519963