研究課題
特別研究員奨励費
本研究は,片末端が基材表面に対して高密度に固定化された,らせん状ポリマーの構造および力学物性に関する詳細な知見を得ることを目的としている.これまでに表面開始リビングアニオン重合法に基づき新規らせん状ポリマーブラシの創製およびそのらせん構造の分子包接能評価を成し遂げている.本年度は,らせん状ポリマーブラシに対するさらなる機能性付与を実現するために,ポリマーブラシの側鎖部位への分子導入を試みた.これまでに報告されているポリマーブラシの側鎖部位への機能性付与は,ポリマーブラシ調製時に用いるモノマー種の選択により達成される.一方で,側鎖に機能性部位を有するモノマーは,反応性,溶解性などの観点から重合手法に限界がある.側鎖にカルボニル基を有するPMMAは,種々のアルコール,アミンなどと水素結合を形成する.そこで表面開始リビングアニオン重合法に基づき調製したPMMAブラシに対して,機能性部位を有するアルコールを相互作用させることにより,らせん状ポリマーブラシ側鎖への機能付与を目指した.キラル化合物とメタクリレート系高分子の分子間相互作用に基づくらせん構造形成におよぼす立体規則性の影響を評価するためのモデル系として,様々な立体規則性を有するPMMAを調製しその構造解析を行った.温度変調型の核磁気共鳴(NMR)および赤外吸収分光(IR)測定に基づき,PMMAとキラル分子が水素結合により相互作用を生じていることを明らかにした.キラル分子と相互作用を生じたPMMAをスピンキャスト法により製膜し,円偏光二色性(CD)および振動円二色性(VCD)測定に基づき構造解析を行った結果,アルコール化合物と相互作用したPMMAは立体規則性に応じて異なる構造を形成することが明らかとなった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件)
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