研究課題
特別研究員奨励費
海棲無脊椎動物由来のガラクトシド結合性レクチンの役割を明らかにする目的から、軟体動物二枚貝ムラサキイガイと環形動物イソゴカイから得たレクチンに対する抗体を作り、組織内の局在を免疫組織化学的に明らかにした。ムラサキイガイレクチンは、鰓や外套膜で高いシグナルを示すことが判明した。これは2016年に報じた、微生物の暴露によりMytiLecのmRNAが鰓や外套膜で高く転写される結果を支持した。イソゴカイから得たレクチンは、表皮と腸に高いシグナルを有することが判明した。それぞれの組織を部位別に分け、ハプテン糖を含む緩衝液で溶出した上清を電気泳動し、それぞれの抗レクチン抗体を用いて検出すると、どちらのレクチンも、組織の細胞が有するガラクトース糖鎖に結合して存在していることが認められた。これにより海棲無脊椎動物レクチンは、その存在様式として、リガンド糖鎖に結合せず遊離状態で存在するもの(カイメンレクチン、ウニ卵レクチン、ウミシダレクチン)と、リガンドに結合して存在するもの(ムラサキイガイレクチン、イソゴカイレクチン、スガイレクチン)に分類できることが判明した。糖鎖アレイを用い、ムラサキイガイレクチンはαガラクトースに、イソゴカイレクチンはβガラクトースに特異的に結合することが判明した。エラと外套膜から得られた抽出残渣を有機溶媒で抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いてムラサキイガイの糖脂質を分離できた。その中にはガラクトースを含む中性糖鎖を持つスフィンゴ糖脂質が存在することの示唆が、抗体を用いた解析から得られた。その後、TLCにより分離した糖脂質を疎水性膜に転写するファーイースタンブロッティングの手法を改良した。そして標識レクチンや抗体を用いた検出技術の向上を行ない、ムラサキイガイの組織中に含まれる、レクチンの内在性リガンド糖脂質の同定を継続している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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