研究課題
特別研究員奨励費
生体に光増感剤を投与しながら腫瘍に対し低強度の光を長時間かけて照射するメトロノミック光線力学療法(mPDT)は、その低侵襲性から次世代型がん治療として期待されている。しかし、標的腫瘍への局部的かつ長期的な光照射を実現するためには、光源を体内に安定固定する技術が不可欠であった。そこで、生体組織接着性ナノ薄膜をプラットフォームとし、生体内の臓器および組織表面にシールのように貼り付けるだけで固定できる発光デバイスを開発することでインプランタブル・ワイヤレスmPDTへ応用した[特許出願済、論文リバイス中]。生体模倣型接着分子であるポリドーパミンを表面修飾した膜厚約600 nmシリコーンエラストマー製ナノ薄膜(PDA-PDMSナノシート)[昨年度報告済]にて無線発光式LEDチップ(赤・緑)を封止することで組織接着性発光デバイスを作製した。次に、背中の皮内に腫瘍細胞を移植した担腫瘍モデルマウスの皮下に作製したデバイスを貼付することで腫瘍直下に光源(LED発光部)を固定した。そして、光増感剤をマウスに静注投与後、ケージ下に設置した無線給電用アンテナを用いて埋植したデバイスを10日間連続的に点灯させることでmPDTを実施した。その結果、埋植したデバイスにて局所的に光照射した腫瘍が顕著に縮退し、緑光源の場合は腫瘍10個中6個、赤光源の場合は10個中1個が根治した。特筆すべき点として、PDA-PDMSナノシートの組織接着性を利用することで無線デバイスを縫合なしに生体内に長期間安定固定できたこと、緑および赤LED光源の光強度(< 100 μW/cm2)は、従来のPDTで用いられているレーザー光源の光強度(> 100 mW/cm2)の1000倍以下であること、さらに、生体物質に吸収され易く組織透過性が低いことから従来のPDTでは使用されてこなかった緑光源を用いた抗腫瘍効果を示せたことが挙げられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件) 図書 (1件) 産業財産権 (5件) (うち外国 1件)
Applied Physics Express
巻: 10 号: 8 ページ: 087201-087201
10.7567/apex.10.087201
210000135953
人工臓器
巻: 46 号: 3 ページ: 173-175
10.11392/jsao.46.173
130006507396