研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、シグナル経路と細胞周期制御因子に注目して、哺乳類の初期発生において多能性と分化を制御する機構への理解を深めることを目指す。最終年度である2018年度は、2017年度と同様に共同研究先であるイギリス・ケンブリッジ大学の研究室に滞在し、ヒト多能性幹細胞を用いたin vitroの実験系によって研究を進めた。前年度に樹立したdouble knock outヒトES細胞に、誘導型knock downの遺伝子カセットを導入することで、細胞周期を制御する遺伝子ファミリーの3つを同時に欠損させる細胞株を作製した。この細胞株を用いた表現型試験の結果、対象の遺伝子ファミリーが多能性の維持に必須ではないことが示唆された。この結果は初めの仮説とは異なるものの、in vitro分化の系を使ったさらなる検証の結果、内胚葉への分化において対象の遺伝子ファミリーが重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの遺伝子の欠損が、多能性の維持ではなく、細胞分化にのみ影響することは興味深い。標的遺伝子が特定の細胞系統への分化に関与する仕組みを予測するために、RNA-seqを行なっている。また、shRNAに基づく誘導型knock downのシステムを利用して、シグナル経路の構成因子をピンポイントに阻害する細胞株の樹立にも成功した。これらの細胞株と網羅的な解析を組み合わせた解析を進めている。以上より、これまでわかっていなかったヒト初期胚の多能性状態の新たな側面を示す興味深い知見が得られた。今後は学術振興会の海外特別研究員として同留学先において研究を進め、本研究成果を含めた論文を発表したいと考えている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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