研究実績の概要 |
本研究では、広告から生じた妬み感情が導く悪影響を軽減する方法および、その方法の文化差を探ることを目的とする。美容広告の魅力的なモデルに対して消費者が抱く妬み感情に焦点を当て、妬みのサブカテゴリである「羨望」を広告から喚起することができれば、ネガティブ感情であっても購買意欲が促進されると想定する。そのうえで、どのような美容広告が「羨望」を喚起するのか、「羨望」を抱く程度や「羨望」を生じさせる広告の要素には日米差があるかどうかを検討する。 本年度は、日本人を対象として、広告が「羨望」に及ぼす影響を検討した。インターネット調査を実施し、日本人の男女240名(20代から50代の男女30名ずつ)に対して、広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、看板、ポスター、カタログ、映画、チラシ等)を見聞きしたときに、そこに登場する俳優や女優、モデル等の登場人物に対して、うらやましい、妬ましいといった気持ちを抱いた経験があるかどうかを尋ね、その経験についていくつかの質問に回答を求めた。その結果、特に20‐30代の男女では、広告に登場する、優れた容姿の人物に対する羨望の記述が多くが見られ、先行研究(e.g., Richins, 1991; Belk, 2001)と一貫する結果が得られた。また、広告に登場する人物への羨望は、広告への評価や当該商品への購買意欲にも影響していることが示された。本研究は調査立案段階において、日本広告学会クリエーティブ・フォーラム2016で発表を行い、総合MEP金賞を受賞した。
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