研究課題/領域番号 |
16J09427
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 善信 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 緻密化 / 導電率 / 酸素不定比性 |
研究実績の概要 |
本研究は、La-Co-O 系および La-Ni-O 系の層状ペロブスカイト型酸化物群の緻密体を作成し、その導電率や酸素不定比性、電極過電圧などを測定することで、それらの間に存在する関係を評価することである。 今年度は、硝酸塩凍結乾燥法やボールミルによる一次粒子径の低減、熱間等方加圧法により LaNiO3 や La4Ni3O10, La3Ni2O7 の緻密化を達成し、酸化物の二相平衡による酸素分圧制御により La4Co3O10 の緻密化を達成した。 その緻密体を用いて上記の酸化物群の導電率を測定したところ、いづれの酸化物の導電率も SOFC カソード材料として使用する際の導電率の目標値である 100 S cm-1 を上回った。LaNiO3 と La4Ni3O10, La3Ni2O7, La2NiO4 の導電率を比較すると、結晶中のペロブスカイト層の増加と共に導電率が増大し、特に、LaNiO3 の導電率は SOFC カソード材料中で最高である 3000 S cm-1 であった。 更に、ヨウ素滴定法により各酸化物の酸素不定比性を測定したところ La4Co3O10 は酸素過剰となる不定比性を示し、La4Ni3O10 と La3Ni2O7 は酸素欠損型となる不定比性を示した。 La4Co3O10 と La4Ni3O10 は同じ結晶構造を有する酸化物であるにもかかわらず酸素不定比性が過剰型と欠損型に分かれたことは興味深く、それらの結晶内には酸素空孔と格子間酸素が混在する可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、層状ペロブスカイト型酸化物である La4Co3O10 と La3Ni2O7, La4Ni3O10, LaNiO3 の緻密化を当初の予定通り達成した。 また、それら全ての導電率測定を完了した。ヨウ素滴定による酸素不定比性測定は LaNiO3 を除き完了した。LaNiO3 の酸素不定比性は低酸素分圧において報告論文が存在するため、その文献値を採用する。導電率緩和測定は La4Co3O10 のみ行ったが、測定値の信頼性向上のためには、測定手法や解析方法を改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は導電率緩和測定の続きを行い、SOFC カソードとして実際に測定セルを作成しての過電圧測定を行う。また、今回の研究で使用した導電率測定用プローブには、プローブ内で温度分布が大きい可能性があるため他研究室の導電率測定装置を使用しての再現実験を行うことが望ましいと考えられる。
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