研究課題
特別研究員奨励費
29年度は、前年度に引き続き、巨大なネットワークにおける拡散過程を扱うデータ構造の省メモリ化、また、ランダムウォークにもとづく重要度に関するネットワーク構造最適化について取り組んだ。【拡散過程を扱うデータ構造の省メモリ化】数億辺以上を有する巨大なグラフデータを扱う際には、その処理に必要な計算時間及びメモリ使用量が問題となる。ネットワーク上の拡散過程を扱うためには、Reverse reachable (RR) setと呼ばれるデータ構造とその拡張が一つの主流となっている。RR setは理論的にはグラフサイズにほぼ比例した空間使用量で様々な問題に対して精度保証を持った計算結果を得られる一方、実用的には中規模のグラフデータにおいても膨大なメモリ使用量を必要とすることが問題とされてきた。本研究では、RR setを省メモリで保持するための手法を開発した。提案手法はRR setの表現形式を工夫しある種の圧縮を施す。実験的評価により、既存の実装に比較して、メモリ使用量が数千倍節約されることを確認した。この研究を遂行するにあたり、2018年2月にカナダに訪問し、University of Victoriaの共同研究者とともに議論を行った。【ランダムウォークにもとづく頂点重要度改善のためのネットワーク構造最適化方法の研究】ランダムウォークは、拡散と並び、グラフ上の代表的なダイナミクスである。特に、ランダムウォークにもとづき頂点重要度を測る重要度指標にPageRankがある。本研究では、特定頂点のPageRank値を改善するために、ネットワーク構造を最適化する方法の研究を行った。理論的な結果としては、この問題を厳密に計算することは困難な一方、PageRank値の高い頂点から改善対象の頂点へ辺を追加していくことで、効果的な改善に繋がることを実験的に検証した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
Proceedings of the 35th Symposium on Theoretical Aspects of Computer Science (STACS)
巻: -
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Proceedings of the 26th International Conference on World Wide Web (WWW'17)
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Proceedings of the 2017 ACM SIGMOD International Conference on Management of Data (SIGMOD'17)
Proceedings of the VLDB Endowment (PVLDB)
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10.14778/2994509.2994525
Proceedings of the 26th European Conference on Machine Learning and 19th Principles and Practice of Knowledge Discovery in Databases (ECML-PKDD'16)
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