研究課題
特別研究員奨励費
塗料を補強剤とした耐震補強の詳細な実験データの収集とネパールにおける実際の住宅に対する耐震設計法を確立し、更にネパールにおける普及可能性を明らかにするために、以下の手順で研究を行った。第一段階では、実際の住宅の耐震補強をする際の塗布厚の決定方針を定めるために、耐震設計法の提案とその確証実験を行った。最初に試験に用いる建材の各種材料特性を把握し、そのデータを用いた耐震設計法を提案した。そして、振動台実験を行い提案設計法が一定の考慮の上で機能していることを明らかにした。結果、提案設計法は、繊維強化塗料の変形能・エネルギー吸収能向上を加味した静的手法であったが、振動台実験における最大加速度の振動でも崩壊を防ぎ、大規模振動において崩壊を防いだ。一方、想定していなかった点として、繰り返し載荷における材料特性の変遷と有効剛性の変化が見られ、それを加味して再設計し、より安全な設計手法を確立した。次の段階では、実際にネパール・カトマンズ市内周辺において造られる組積造の主な建材である煉瓦の種類・特性・価格に関する調査を行い、またカトマンズ市近郊にある住宅に関して設計を行った。住宅の設計図と実際の施工には乖離があり、塗布量決定は、実際の住宅を確認し検討するか、最低限の塗布厚を明示し、いかなる場合でもそれ以上の塗布厚を塗布するように決定しておくという方法を提案した。調査した住宅の例では、壁厚が設計図の半分であったため、面外崩壊先行になると予想された。その上で提案した耐震設計法によると通常の塗料と同様の塗布厚ということが明らかになった。最後の段階では、提案補強法が自助により普及しうるかアンケート・インタビュー調査を行った。結果、富裕層がお金を払いやすく、被災度はあまり関係なく、日本製の機能的塗料を売るために必要な金額だと、カトマンズ市内においては8.4%が受け入れられるということが明らかになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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NCEE 2018 - 11th U.S. National Conference of Earthquake Engineering, Earthquake Engineering Research Institute
巻: -
16th World Conference on Earthquake Engineering, 2017, e-paper
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