研究課題
特別研究員奨励費
体内の脂質をエネルギーとして利用する能力(脂質代謝能力)は身体組成や心肺体力など様々な要因により個人差がある。脂質代謝能力に応じて脂質をより多く酸化できる運動強度は異なると推察されるが、脂質代謝能力と実際の長時間運動中の脂質代謝との関係について十分な検討は実施されていない。本研究では検討課題Ⅰとして「脂質代謝能力の違いが長時間運動中の脂質代謝にどの様に反映されるか」を明らかにし、検討課題Ⅱとして「脂質代謝能力の違いに応じて脂質酸化に最適な運動強度範囲が異なるか」を検討した。検討課題Ⅰの実績の概要:若年男性30名(肥満者11名、標準体重者11名、持久鍛錬者8名)を対象に脂質代謝能力の指標である脂質酸化量の最大値(maximal fat oxidation:MFO)およびMFOが示される運動強度(Fatmax)を運動負荷試験により測定し、Fatmaxで300kcal消費する長時間運動中の脂質酸化量との関係を検討した。MFOと長時間運動中の脂質酸化量との間に有意な相関関係は認められなかったが、Fatmaxと長時間運動中の脂質酸化量との間に有意な負の相関関係が認められた。検討課題Ⅱの実績の概要:検討課題Ⅰの実験参加者の内、肥満者10名、標準体重者10名を対象にFatmax±10%強度で300kcal消費する長時間運動を追加で実施し脂質酸化量の違いを検討した。FatmaxおよびFatmax±10%強度において対象者間の脂質酸化量に差はなく、いずれの対象者においてもFatmaxおよびFatmax+10%強度に比べてFatmax-10%強度の方が運動中の脂質酸化量が有意に多かった。これらの結果をまとめると、脂質代謝能力の違いは長時間運動中の脂質酸化量には影響せず、エネルギー消費量を基準に考えた場合、中等度強度よりもやや低い運動強度の方が脂質をより多く酸化できる可能性が推測される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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