研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、厚膜感光性材料を用いた生体機能再現のためのバイオマイクロデバイスの実現を目的とし、疑似的な細胞外マトリックスとして機能する足場構造構築に取り組む。平成30年度は、(1)マイクロ流路への組み込みが可能な微細構造の作製、(2)マイクロ流路と一括作製可能な3次元メッシュの作製を行った。(1)厚膜感光性材料の特徴である感光部と未感光部のガラス転移温度差を利用した接着法を考案し、細胞を含有できる3次元のポーラス構造上に細胞を透過しない2次元のポーラスメンブレンを集積した。前年度までにマイクロ流路を有する細胞培養用のプラットフォームを構築していた。しかし、プラットフォーム内の細胞組織は生体内の組織とは類似していない。生体内組織は、2次元的な構造をとる細胞組織関門と3次元的に細胞が積層した構造からなる。そこで、細胞を含有し3次元的に細胞を積層することのできるポーラス構造に、細胞の生成する代謝物質のみを透過する2次元のメンブレンを集積することで、2次元と3次元の構造を有する足場構造作製に取り組んだ。結果、孔径約3.5 μm、厚み約8.3 μmの2次元メンブレンをポーラス構造上に集積し、各構造上で2種類の細胞を共培養できた。(2)3次元メッシュの作製では、傾斜露光法と傾斜酸素アッシング法を利用し、疑似細胞外マトリックスとなる起立したメッシュ構造をマイクロ流路と一括作製した。傾斜酸素アッシング法により微細性を向上させ、孔サイズ10 μm以下、高さ50 μm以上の3次元メッシュを作製できた。また、作製した構造上に接着性の細胞を播種した結果、細胞が構造上に接着している様子が観察された。以上、最終年度は、これまでに作製したプラットフォームに格納可能な疑似細胞外マトリックスの作製と、マイクロ流路と一括作製可能な構造の作製に取り組み、いずれの構造上においても細胞を培養できることを示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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