研究課題
特別研究員奨励費
脳損傷後の認知ー遂行機能の変化を捉えるために初年度に開発した言語性記憶、精神運動速度、抑制機能などの5つの認知カテゴリーを網羅した認知課題バッテリーを脳腫瘍の摘出前と摘出6ヶ月後に同一の患者に施行して課題の成績を解析した。左右半球で機能差があることが予測されたことから、左右半球損傷患者ごとに行動データの解析がなされた。その結果、左摘出患者では、術前と比較して術後6ヶ月において言語性記憶、精神運動速度、即時記憶、 言語の流暢性及、抑制課題の各下位課題において成績が有意に低下していた。一方、右損傷患者では有意な変化は見られなかった。また、上記課題に共通する認知因子を抽出するため課題の成績に対して因子分析を行なった。その結果、左半球損傷群では、精神運動速度、数唱、課題の切替に共通する第1因子が検出され、この因子は短期的音韻処理の役割を担う機能であると考えられた。第2因子は、記憶課題と流暢性課題に影響を与えており、言語性短期記憶に関する因子と考えられた。右摘出では、抑制機能に関する第1因子と精神運動速度、数唱など4の認知課題に影響を与える第2因子が抽出された。次に、 上記認知因子に関連する脳部位を明らかにするため、Voxel-based lesion-symptom mappingを用いて責任病巣の解析を行った。その結果、左半球摘出群の第1因子はウェルニッケ野を中心とした領域が検出され、第2因子は側頭葉内側と頭頂葉が示された。一方、右摘出群では、前頭葉前方内側領域が検出された。一方、研究の一部はフランスINSERMのRossetti教授と共同研究がなされ、右半球損傷患者に行為の文脈解釈の障害に基づくと考えられる遂行機能障害が観察された。以上の研究結果については、国際神経心理学会や日本神経心理学会をはじめとする国内外の学会・研究会にて研究発表がなされ、国際雑誌に論文発表がなされた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Psychology
巻: - ページ: 1-5
10.3389/fpsyg.2019.00169
https://researchmap.jp/read0070086/
http://gyoseki.twmu.ac.jp/twmhp/KgApp?kyoinId=ymdkgoyeggo
http://www.twmu.ac.jp/ABMES/ja/nikichiharu