研究課題
特別研究員奨励費
ファイトプラズマは世界各地で甚大な被害を引き起こす病原細菌であり、植物の篩部細胞内に寄生し、多様でユニークな病徴を引き起こすと共にしばしば枯死に至らしめる。また近年、枯死の前段階には糖の異常蓄積が起こることが明らかになりつつある。そこで本研究では、未だ有効な防除手段が打ち立てられていないファイトプラズマ病に対し、糖蓄積メカニズムを明らかにすることで防除技術につながる知見を得ることを目的とした。具体的には、ファイトプラズマが宿主の糖類トランスポーターを介した糖輸送システムを攪乱することによって糖類の異常蓄積を起こすという推測のもと、感染時に攪乱されるトランスポーター遺伝子の特定および、攪乱を誘導するエフェクターの同定を進め、ファイトプラズマがどのように宿主植物の栄養源をハイジャックして感染成立させ枯死に至る病徴を発現させるのか、その全容解明を目的とした。当該年度はまず、ファイトプラズマ感染によってどの糖トランスポーター遺伝子が攪乱され、異常な発現制御を受けるのかを特定する目的で、シロイヌナズナに健全ヨコバイ、およびファイトプラズマ感染ヨコバイを吸汁させ、それぞれのサンプルから経時的にRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法を用いて、遺伝子の発現解析を行った。その結果、発現が有意に上昇した遺伝子の特定に成功し、仮説通り、感染により特定の糖トランスポーター遺伝子が発現制御されることが明らかになった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
The Plant Journal
巻: 88 号: 1 ページ: 120-131
10.1111/tpj.13265