研究課題
特別研究員奨励費
現在、様々なHA亜型の鳥インフルエンザウイルスが散発的にヒトに伝播しており、H5N1、H7N9ウイルスなどによる新型インフルエンザの発生が危ぶまれている。現在、インフルエンザの治療には、ウイルス蛋白質NAの、またはウイルスポリメラーゼ蛋白質の阻害薬が使用されているが、耐性ウイルスの出現が大きな問題となる。つまり、現行の阻害薬とは作用機序の異なる新規抗インフルエンザ薬の開発が必須である。抗体医薬品は、一つの抗体が一つの抗原を認識する特異性を利用した、副作用の少ない効果的な治療薬である。本研究では、抗体医薬品として、全てのA型インフルエンザの治療に利用可能な、全てのA型ウイルスHA蛋白質を中和するユニバーサルな高親和性モノクローナル抗体を多数作出することを目的とする。抗体が標的とするのはHA機能の必須領域であるため、耐性ウイルスの出現は少ないと予想され、インフルエンザの新たな治療法の開発につながると期待される。これまでに、免疫したマウスの脾臓細胞から、複数の亜型のHAを認識する抗インフルエンザウイルス抗体産生ハイブリドーマを数クローン確立できた。今年度は、さらに、別の免疫源と免疫手法を使ってマウスを免疫したところ、H1亜型とH3亜型の両方のHAを認識するハイブリドーマを作出することができた。そのうち、両方に対して非常に高い親和性を示すハイブリドーマの性状解析を進めたところ、また別のHA亜型をも認識することが分かった。現在、このモノクローナル抗体の性状解析をさらに進めており、インフルエンザの治療に利用可能なA型インフルエンザウイルスHAに対する高親和性抗体の作出を進める。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat Commun.
巻: 9 号: 1 ページ: 59-59
10.1038/s41467-017-02517-w
120006376026