研究課題
基盤研究(C)
現在図書館で使われている本の配架場所は,知識を体系化した日本十進分類表などをもとにして行われる。しかし,実際に行われる資料の利用は学術的なニーズのみに基づいて行われているわけではない。そこで本研究では,図書館での資料の利用状況や人々の図書から受ける読後感などを元にして人々の真の情報要求を把握することを試みるとともに,Wikipedia中の記述をもとにして検索式を拡張したり類似資料を同時に提示するなどが可能な資料提供システムを試作して評価した。その結果,検索式の自動拡張や関連する資料の提示の有効性が明らかになるとともに,利用者の持つ知識や検索経験の影響が大きいことも明らかとなった。
本研究の成果は,検索語との対応関係のみに基づいて資料を提示する従来の図書館OPAC や,学問としての知の体系のみに基づく図書館の書架のブラウジングでは実現できない利用者要求を満たすものであり,人手によるパスファインダーやレファレンス・サービスの欠点をシステム化によって補うための基礎的な材料になりうるものと考えられる。また,同時に図書館だけではなく書店や類似施設での資料配置にもつながるものと考えられる。
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