研究課題
基盤研究(C)
希ガスの化学的に不活性な性質のトレーサー適用を、火山岩やスコリア質の溶岩の発泡度や緻密度といった岩石組織や石基部分の構造とあわせて検討したところ、脱ガス過程、マグマへの溶解度を反映する変動がみられた。また火山噴火準備過程解明のため、2016年以降カルデラ湖の水、温泉周辺の噴気を採取し、希ガス同位体比変動を検討したところ、質量分析計で測定十分なヘリウム量を採取できたため、軽い質量数の希ガスにわずかな同位体異常を検出した。先行的に採取した蔵王周辺の温泉水湧水などと共に、同位体によるマグマ起源物質の寄与の検討を行い、わずかながらマントル起源物質の寄与が推定された。
最近10万年程度の火山活動史が正確に編年されることは、防災の観点から極めて重要である。一方、カルデラ形成を伴うような中小規模~爆発的噴火が10万~近年にかけて見かけ上集中しているため、この範囲の放射年代を精度良く決める事は非常に困難でもある。加えて、そのような爆発的噴火の準備過程が中小規模噴火と同一の噴火様式か否か、必ずしも確かな知見は得られていない。この中で、火山岩全般への適用範囲の広いK-Ar年代と噴出物や熱水・湧水等の希ガス同位体分析から、同位体比の変遷を測定し、異常を読み解き、火山ガス放出の時間変遷と・爆発的噴火への準備過程への制約を試みる。
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