研究課題/領域番号 |
16K01970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳計測科学
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
豊田 浩士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (10558084)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脳血流量 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,脳血流量・脳血液量の高速撮像法を超高磁場MRI向けに新規開発し,それらを従来の機能的MRI(fMRI)の短所を改善するような新規fMRI法として確立することである. 平成29年度の研究実施計画は,平成28年度に引き続き,先端的技術開発の導入により超高磁場MRIの技術的課題に対処しつつ,超高磁場MRIシステムに実用可能な撮像パルス系列を開発・実装すること,並びに,その応用として生体を対象とした実測データを得ることであった. 実際には,超高磁場MRIを用いた生体撮像において技術的課題となるRadiofrequency (RF)コイル磁場強度の不均一性,および,RFパルス照射の際の比吸収率(SAR)の増大の問題点を解決するために,本研究課題における脳血流量や脳血液量の非侵襲的撮像パルス系列への適用に即したRFパルスの独自開発・改良を行った.さらには,超高磁場MRIにおいては組織横緩和時間がより短縮されるため,特にfMRIへの適用の際には並列化技術による撮像の高速化が要求されるが,平成29年度も前年度から引き続いて,多スライス同時収集法の撮像パルス系列の改良も継続し,その成果を本研究課題における脳血流量・脳血液量の計測に適用した.こうした超高磁場向け撮像パルス系列全般の洗練化を進めつつ,それらの実用化に向けて,動物専用機への実装,ファントム撮像実験,小動物脳の撮像実験により,実測精度を高めるための研究開発を進めた.小動物の脳を対象としたfMRI計測においては,一定の成果を得ることができた. これら,MRI撮像法に関する基礎的研究成果の一部は,特許出願するとともに,平成29年4月の国際学会にて発表した.現在誌上発表に向けての準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実施計画の項目1「超高磁場MRI装置を用いた新規機能的MRI法の開発」に関しては,平成28年度に実施する予定であったが,項目1-a)の「超高磁場用RFパルスの設計」,および,項目1-c)の「多周波数帯域同時励起法を用いた多スライスないし多スラブ同時収集法の開発」についての開発に多くの労力と時間を割く結果となり,項目1-b)「脳血流量,脳血液量の非侵襲的画像化のためのASL法とVASO法の開発」の実施にまで手が回らない結果となった.このやり残された項目1-b)に関しては,平成29年度から開始することになったため,当初の予定は順次後送りとなった.また,この項目に関しても,動物実験機での実施を中心に進めることとなったため,ヒトを対象とした動脈スピン標識のための準備パルス系列の磁場均一性の確認,および,それに用いられるRFパルスの比吸収率の面から見た安全性の確保に関しては,計画に遅れを生じている状況である. また,項目2「新規開発計測技術による,従来のBOLD法を用いた機能的MRI法の短所の克服課題」に関しても,ヒトを対象とした超高磁場MRIの実施に関しては予定よりも遅れを生じている.これは初年度からの遅れのために順次後送りになっているためでもあるが,新規撮像法をヒトに適用する際の安全性の確認・実施承認を得る段階において必要以上に時間を要してしまっているためでもある.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までの予定でやり残した項目を含む,平成30年度の実施予定項目は以下の通りである. 計画項目1-b)「脳血流量,脳血液量の非侵襲的画像化のためのASL法とVASO法の開発」においては,ヒトを対象とした検討が残されており,その中から可能なものを順次実施していく. 計画項目2-b)「ASL法およびaVASO法による絶対値定量画像」に関しては,ラット脳を対象とした場合の絶対値の定量画像を得ることはできたが,その計測精度のさらなる改善および結果の評価検討を引き続いて行う. 計画項目2-c)「画像歪みや感度不均一性の排除」については,小動物専用MRI装置を用いた実測においては一定の成果を得ることができたので,今後はヒトの脳を対象としたfMRI計測においても実測結果から得られた知見をフィードバックする形で,再度撮像技術レベルに戻って超高磁場用に撮像方法を調整し,画質改善,高速化,撮像範囲の全脳化のための改良および最適化を加える. 計画項目3)については,本課題研究において開発したASL法およびVASO法の計測技術を脳機能イメージングへ適用する.従来法では困難な刺激非負荷(安静)時の脳の状態を絶対値定量画像としてとらえる方法を確立する.また,安静時および課題負荷時における小動物とヒトの脳での機能連関を調べる実験を行う予定である.以上の実験にあたっては,生命倫理・人権等に配慮して施行する.
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