研究課題/領域番号 |
16K02146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
伊勢 俊彦 立命館大学, 文学部, 教授 (60201919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 公共性 / 移行期正義 / ヒューム / 謝罪と赦し / 尊厳の回復 / 因果性 / 感情 / 所有 / 哲学 / 自己と世界 |
研究成果の概要 |
最初の段階では、所有の問題に焦点を当てた。所有は、人と人との関係に媒介される人と物との関係の典型例である。所有という力の行使が可能な領域は、他者という外部との関係で限界づけられており、この限界は、他者からの介入の生起によってあらわになる。こうした介入への感情的反応、すなわち不正義への驚きと怒りが、正義を支える道徳感情に他ならない。 これらの論点を踏まえて、研究期間の後半では、不正義による危害の問題に焦点を当て、現代における大規模な暴力や人権侵害の事例への対処に、ヒュームをはじめとする近世英国の政治哲学がいかなる視点を提供しうるかを検討し、公共性を維持する継続的実践の重要性を確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
所有の問題の考察において明らかになったのは、人と人との関係による媒介という事態が、理論哲学が扱う現象の広い範囲に浸透していることであり、本研究の現代哲学の諸問題への関連性を示している。 また、所有を因果性として考察したときに見えてくる論点は、因果言明の反事実条件法的分析に連なる不在因果の問題や、因果概念の言語的・社会的実践への内在の問題とも関り、ここにも、現代哲学の論点との密接な関連が見て取れる。 不正義による危害への注目から浮かび上がるのは、被害によって毀損された社会的関係や被害者の尊厳の回復に焦点を当てる、修復的正義や移行期正義といった応報的・匡正的正義のアプローチとの関連性である。
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