研究課題/領域番号 |
16K02220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 京都光華女子大学 |
研究代表者 |
長田 陽一 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (20367957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2017年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2016年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | メタファー / 発達 / 障害 / 歴史 / 主体 / 他者 / 歴史性 / 発達障害 / イメージ / 精神分析 / 近代性 / 思想史 / 社会系心理学 / 精神分析学 / 臨床哲学 |
研究実績の概要 |
発達障害(自閉症スペクトラム、AD/HD、学習障害等)は、中枢神経系に高次の機能障害が推測されるものの、今のところ原因を特定できず、時に「目に見えない障害」と言われる。このような発達障害(者)の特徴は、しばしば「障害」をその人のpersonalityに帰属させる傾向を生じさせている。発達障害(者)における、個人的特性と「障害」の区別の困難性は、とりわけ発達障害者との関わりがなかった者にとっては、しばしばpersonalityに関する偏見やレッテル貼りの一因となっていることが考えられる。 これらを踏まえ、従来なされてきた本質理解(原因追及)とは異なる観点から、発達障害という言葉(概念)を隠喩(メタファー)として捉えなおし、その諸作用を検討することを目的とした研究の一環として研究を実施した。 最終年度は、自閉性障害と統合失調症における主体の構造の検討を行った。主体には〈私が私を見る〉という内省の構造が備わっているが、この構造を可能にするものとして、西欧近代においては、私の一貫性や透明性、自由意思、責任能力、理性を、「人間」の価値と同一視する傾向が強くなった。近代の終焉において現れた統合失調症では、いったん成立した近代主体が瓦解する過程で、主体に胚胎する矛盾が、〈私が私を見る〉ことの内に不気味で超越的な他者を呼び込むことになる。他方、自閉症においてはドナ・ウィリアムズの『自閉症だったわたしへ』を参照しながら、他者がいない自閉症の世界に他者が存在しはじめるとき、少なくとも4つの異なる水準の主体が生じることを指摘した。さらにデカルトのコギトを検討し、主体の普遍性と歴史性について考察した。最後に、近代主体における内面の成立は、外部からの不可視性に守られていること、それは神ないし超越的他者をいったん内面化した後、その事実を隠蔽することで成立したことを指摘した。
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