研究課題
基盤研究(C)
15世紀のネーデルラント美術、とくにヤン・ファン・エイクの美術において象徴性や図像的な意味内容と並行して、聖書に語られない人物の動作や場面を描きこみ、観るものの情念をかきたてる感性的表現がファン・エイク以来、重要なファクターとして絵画の中で機能していたことが明らかになった。こうしたオランダ絵画が受容者(消費者)の手に届くようになるには、それまでとは比較にならないくらい美術市場の役割が重要になってくる。需給関係ばかりでなく、社会関係資本に立脚した広義の市場は、芸術家の自由を束縛することになるが、その一方で競争によって近代芸術家にとって最大級の価値ともいえる独創性を生みだす「場」となった。
レンブラント美術もとよりネーデルラント美術は、感覚の変遷、モードの変化こそが第一義的だという姿勢に貫かれている。つまり、主題そのものに価値があるのではなく、その需要によって価値が生みだされてくる。これは本質を重視する古典主義に対する反逆である。いわば本質と属性の逆転に特徴があり、近代に先駆けている。つまり、同時代の価値観を逆転させている。レンブラントの作品の特質を剔抉するなら、「イノベーション」とは何かということが具体的に明示される。現代の転換期において喫緊の課題は、過去を踏襲することではなく、それをいかにチェンジしていくかということであり、本研究にはそのヒントを見出すことができる。
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