研究課題/領域番号 |
16K02438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英米・英語圏文学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
境野 直樹 岩手大学, 教育学部, 教授 (90187005)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ルネサンス演劇 / プロットと時間 / ジャンルの変容 / 演劇と時間 / 近世英国演劇 / 舞台と時間 / 三一致の法則 / 英国ルネサンス演劇 / 英国演劇 / シェイクスピア / 時間 |
研究成果の概要 |
近世初期英国演劇において、最後の審判へとリニアに向かうキリスト教的時間概念を強く反映させたドラマ(たとえばマーロウの『フォースタス博士』)にたいして、創作年代がさほど遠くないにもかかわらず、『ハムレット』のように意図的に同一モティーフをあたかもデジャ・ヴのように反復・中断させつづける異様な時間軸をもつ作品が存在する。プロットのクロノロジーを意図的に超越することで、舞台はさながら主人公の精神構造の遠近法とでも呼ぶべき効果を強く観客・読者に迫る効果を発揮する。時間芸術である演劇は当然ながらこの乱れを早晩消化しきれなくなり、代わって台頭するジャンルである小説に、その可能性を委譲することになる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ルネサンス英国演劇のプロットの時間軸の描き方の進歩・展開に注目すると、舞台が「物語」記述から「心理描写」への関心にむかう様子が見て取れる。そのことが新しい様式としての小説を準備した様子をたどることで、たとえば「歴史叙述」にひそむ起草者の政治性(直線的な時間軸を持つ叙述)と、批判的・検証的な語りの構造(小説において多様な実験精神とともに展開される内省的・反復的叙述)の相関性について考察するための視座を得ることが可能となる。 「歴史の終焉」が標榜されて久しいが、安定と自己正当化をめざす「新しい物語」への希求が、ともすればそのような検証的反復・内省を置き忘れるかのような現代の危うさを指摘した。
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