研究課題/領域番号 |
16K02574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
桂 元嗣 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40613401)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 中欧 / オーストリア論 / ムージル / カカーニエン / 批判 / 翻訳 / テクスト生成 / 中央ヨーロッパ / テクスト生成論 / 編集 / フェテッシュ / チェコ / ナショナリズム / オーストリア / ハンガリー / モルナール / ポルガー / アウストロ・ファシズム / カトリシズム / ユダヤ性 / 呪物(フェティッシュ) / 独文学 |
研究成果の概要 |
冷戦後の中欧研究におけるムージルのカカーニエン概念の機能と妥当性を、①同時代の作家によるオーストリア論との比較、②『特性のない男』生成過程との関係、③同概念の現在までの受容状況の分析、という3つの観点にもとづき研究した。ムージルのカカーニエンをめぐる言説は、同時代のオーストリア論がドイツ性やカトリック性など同国の具体的特性に依拠しているのとは異なり、特性をむしろ解体し、背景にある要素を取り出そうとする批判性を機能として持つ。これは非ドイツ語圏出身のオーストリア文学作家が、異なる二都市を「可能性としての風景」として重ね合わせる手法、両者の区別が重要でないような彼らの世界観として受け継がれている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「中欧」や「カカーニエン」といった概念についての研究は、国民国家的枠組みや言語集団的枠組みとは異なり、ヨーロッパの国境・言語横断的な文化的広がりを考察できる点で有効であり、またEU のような経済論理に根差した枠組みとは異なり、経済的に脆弱で発信力の弱い小国の文化的な存在意義を強調できる点に特色がある。なかでも本研究は、中欧文化を「カカーニエン」というキーワードで読み解く妥当性と問題点を探るうえでテクスト生成論や翻訳論といった文学的分析手法を用いる。それにより異なる民族や言語の「間」にある中欧ならではの文化状況をすくいあげることができる点に特徴と学術的意義がある。
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