研究課題/領域番号 |
16K03031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
伊藤 啓介 総合地球環境学研究所, 研究部, 外来研究員 (10733933)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中世の金融 / 荘園制と金融 / 寺院内の相互扶助 / 中世荘園領主の資金繰り / 中世荘園制 / 土倉 / 日本中世史 / 経済史 / 会計史 / 日本史 / 貨幣史 / 金融史 / 荘園史 |
研究成果の概要 |
本研究の成果は、荘園領主である権門寺院の資金繰りの内容と金融構造を明らかにしたことである。都市に集住する荘園領主の出費は一年中存在するのに対し、彼等の収入は、秋の収穫期以降に送進されてくる荘園年貢が中心であり、彼等の財政構造には季節性のギャップが存在する。このギャップを埋めるためには、権門寺院では年貢収入を、組織の内部に寺官層の財産という形で蓄積し、出費を立て替えさせていた。財務に明るい寺官層が、収納の実務を通じて財産を蓄積し、その財産で東寺の荘園領主としての出費を立て替え、そして秋の年貢から利息をつけて彼等に返済する、という形で、蓄積を再生産するという構造をとっていたのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、荘園制における金融業者についてのイメージは、例えば担保にした土地を奪いとる「借上」であり、高利をむさぼる「土倉」といったもので、農業社会において暴利をむさぼる経済上の寄生者といったイメージが強かった。だが、本研究によって、荘園領主のもつ財政構造の季節性を補完する存在と位置付けられたことで、かならずしも従来のイメージが正当ではなく、当時の荘園制経済に必要不可欠な存在であることが明らかになった。中世における荘園制経済に、金融業者を正確に位置づけることで、日本の経済の発展のありようについて、正しいイメージを明らかにすることができた、と考える。
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