研究課題
基盤研究(C)
紀元前3千年紀後半に繁栄したシュメールの都市国家ラガシュの楔形文字粘土板文書のなかの、人々へのオオムギ配給や土地割り当て記録、および供物の奉納記録などを、それぞれのタイプごとに粘土板文書作成の年と月、記録に言及されている人名・職名・家族関係、その他の特記すべき事項を抽出しデータベース化した。これによって、データの検索が容易になり、またデータの見落としもかなり防げるようになった。そして、これらのデータの詳細な分析を通して、ラガシュの支配層に属する女性たちが自分自身の経済力を背景に、宗教祭儀に物質的貢献をし積極的に参加することによって、都市国家の政治体制の維持に寄与していたことを明らかにした。
家父長制の社会において、女性、特に既婚女性が公の場で行動する時ー女性が独自に行動する余地はほとんどないという認識の下ー女性の行動がどのようなものであっても、その女性は自分の夫の名において、すなわち、夫の代わりに行動していると一般的に理解・解釈される。確かに古代史研究において女性の主体性を論じることは的外れで、本研究の女性たちも当時の社会の仕組みの中で行動しているに過ぎない。しかし、女性の経済力が女性に積極的な社会参加を促したことは資料から明らかである。本研究は緻密な資料分析を通して、女性は受動的でその居場所は家の中という役割概念を再考する機会を提供することができたのではないかと思う。
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巻: 55 ページ: 63-70
中央大学文学部紀要(史学)
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