研究課題/領域番号 |
16K03113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ史・アメリカ史
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 耕太郎 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00264789)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アメリカ史 / ナショナリズム / 福祉国家 / アメリカ現代史 / 1970年代史 / アメリカ研究 / 西洋史 / 現代史 |
研究成果の概要 |
本研究は現代アメリカの市民ナショナリズムの変成過程を、ポスト福祉国家時代の始まりともいえる1970年代を中心に分析した。その際、黒人市民権運動の影響やベトナム戦争末期の徴兵制停止といった新たな政治・社会変動をより幅広い米国シティズンシップの展開との関連から歴史的にとらえ直した。この作業をとおして、格差社会化にともなう社会的な市民権の衰退や市民による軍事奉仕のあり方の変化が、にわかに台頭した小さな政府論や厳格な個人主義と密接に結びついていたことが明らかになった。1970年代以降の市民ナショナリズムは、統合主体としての福祉国家が後退する中で、新たな社会分断との相克を抱えるものとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で考察したポスト福祉国家時代における市民社会の変容は、今日のアメリカ合衆国が抱える種々の社会分断の淵源を成すものである。極端な格差社会の不平等や都市のマイノリティ・貧困層に対する監視、拘禁政策は、近年多発する人種間暴力の原因にもなっている。本研究が明らかにした知見は、こうした問題が生まれてきた歴史的経緯を知るうえで欠かせないものである。また、そうした歴史学的なアプローチは、無数の人種的、経済的、文化的な「分断」を前に苦悩し新たな統合の道を模索するアメリカ社会の現状を理解する一助となるだろう。
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