研究課題/領域番号 |
16K03118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ史・アメリカ史
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
草生 久嗣 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (10614472)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 西洋中世史 / ビザンツ史 / 地中海 / 編集 / 写本 / キリスト教 / 異端 / 宗教問題 / ビザンツ / 校訂 / アルメニア / 正教会 / 西洋史 / 異端学 / 書物の歴史 / ビザンツ学 / テキスト分析 / 中世史 / 宗教史 |
研究成果の概要 |
本研究は、ビザンツ世界での異端学についてのテキスト本文のち密な分析に基づき、同時代知識人異端学者の他者観は、歴史研究上の「異端視」と異なったものであることを明らかにした。多くの民族が共生する地中海世界において「パノプリア」のような異端学書を編纂することは、キリスト教異端者のリストアップする作業であるよりも、正統教会の神学者ジガベノスが「パノプリア」編纂において行ったように、異端というレッテルを用いつつ他者としてその人々を理解しようとする姿勢の表れとみるべきであろう。 2013年に完了した博士論文研究を引継ぎつつも、検討対象を拡大し本研究期間中にその成果を発表している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
東地中海世界にあっては、異端断罪は「他者にまつわる情報編集」の一つのありかたであり、信仰による狂信や教義論上の視野狭窄などではなく、異端のレッテル機能、異端学者(知識人)のレトリック、異端学書(参考書)の編集技術が構築したものであったといえる。これは、西洋の異端弾圧についてのイメージや理解の見直しを求めるものであった。 異端迫害という現象は、特定の少数者のイデオロギー支配による排斥行為にとどまるものではなく、およそ現代にもみられる被迫害者に対するレッテル貼り、そのレッテルを運用する教養人層、そのレッテルにまつわる情報を編纂する技術がそろうところでは、いかなる人的集団も異端者とされ得たのである。
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