研究課題
基盤研究(C)
フランスでは、2016年に、生物多様性、自然および景観の回復に関する2016年8月8日の法律により、民法典が改正された。この改正により、環境損害、すなわち生態系の構成要素や機能、そこから人々が享受している便益に対する看過できない損害は、民事責任法上賠償の対象であると民法典上明確に規定されることとなった。本研究では、今後わが国において市民参加型の環境保護法制を発展させていくため、この法改正を中心に、フランスにおいて環境保護分野での民法の役割について検討を行った。
わが国では、戦後の高度経済成長期に発生した公害事件において民事訴訟が被害の救済に果たした役割にかんがみ、1970年代から、公害に至る以前の早い段階での環境保全において市民がイニシアティヴを発揮するための法制度を確立する必要性が指摘されてきた。本研究は、近時、民法典において生態系の構成要素や機能、生態系から人類が得ている便益などへの侵害が民事責任の対象となることを明文化したフランス法を検討し、環境の法的保護における民事責任を中心とする民法の役割と環境法における市民参加のあり方について、わが国の今後の法政策にとっての一つの参照モデルを提示する意義を有する。
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日仏法学
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