研究課題/領域番号 |
16K03587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済学説・経済思想
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研究機関 | 九州大学 (2018-2019) 九州産業大学 (2016-2017) |
研究代表者 |
高 哲男 九州大学, 経済学研究院, 特任研究者 (90106790)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アダム・スミス / 共感 / 道徳 / 正義 / 自然的自由 / 政府の役割 / 教育 / 娯楽 / 発達 / 音楽 / 音楽教育 / 直接的共感 / 間接的共感 / 『道徳感情論』 / 『国富論』 / 自己愛 / 感情 / 競争 / 効用 / 公共心 / 思いやり / 利己心 / 自愛心 / 一体感 / 栄養価値 / 国家 / 科学と娯楽 / 自由主義 |
研究成果の概要 |
以下の二点で、伝統的なスミス解釈を批判し、新しい解釈を提示した。 功利主義批判:人間の社会は多様な価値観、道徳感を抱くさまざまな人間から成立しており、公共の利益は、たんなる個人の自己利益の数学的集計にはならない。体系重視の人間は、人間の幸福よりも機械装置がもつ効用や美しさを、目的よりも手段を重視する過ちを犯す。政府や国家の役割:自然的正義が確立すれば、競争が保たれている限り自然的自由の体制は持続するが、それはあくまでも商人の社会である。人間の可能性と能力をさらに展開させるには、非商業的な人間資質や文化の発展を担う人間教育、芸術や科学の振興等の分野で政府の果たすべき役割がますます大きくなる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アダム・スミスの経済思想は、従来ますます自由競争至上主義の源泉、あるいは、意図せざる結果の理論的源泉と理解されることが多くなった。本研究は、そのような理解は極めて恣意的であること、結果的に、スミス自身の思想や経済学が本来持っていた歴史的な意義を、完全に見失うものであることを、『道徳感情論』と『国富論』に即して解明、指摘した。社会全体に対して、効率性の重視だけでなく、人間が本来持っている多様な能力の発揮のために政府しかできないこと、これに、自由主義の元祖スミスが早くから注意を喚起していたことを、広く知ってもらえるように少し貢献できたと信じている。
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