研究課題/領域番号 |
16K04006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 中央大学 (2019-2022) 東京理科大学 (2016-2018) |
研究代表者 |
大沼 宏 中央大学, 商学部, 教授 (00292079)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 保守主義 / 条件付保守主義 / 人的資源投資 / 情報の非対称性 / エイジェンシーコスト / 租税負担削減行動 / 戦略的提携 / 連結納税制度 / 不完備契約研究 / エイジェンシー費用 / 監査リスク / 税務リスク / コーポレート・ガバナンス / 監査報酬 / 監査複雑性 / 不完備契約 / 経営者の自信過剰 / 取締役会 / 高いリスク志向 / 経営者の性格的特徴 / 自信過剰 / 投資リスク / コーポレートガバナンス / 社外取締役 / 機関投資家 / コーポレートガバナンススコア / モニタリング機能 / ESG投資 / 利益調整 / 非線形的関係 / 外国子会社 / 経営者属性 / 受取配当金 / DID分析 / 非線形関係 / 組織内多様性 |
研究実績の概要 |
本年度はこれまでの研究成果と今後の研究計画の設定を念頭に、無条件保守主義と条件付保守主義の相違、条件付保守主義と人的資源投資の関係性についての文献研究を行った。この中で、まず保守主義とは何かを明らかにした上で、企業行動のどの局面に対して会計保守主義が影響を与えるのかを検証した。 条件付保守主義とは、良いニュースよりも悪いニュースを,企業がより早く利益報告に反映させる実務と解釈される。このことは、良いニュースと悪いニュースとでは財務報告に反映する期間に体系的な相違が存在することを示唆する。費用または損失の計上を優先するという非対照的な認識基準を適用することは、利益の品質ひいては財務報告の品質を向上させる。財務報告の品質を向上させることは、結果として市場の不完全性(情報の非対称)を解消し、コーポレート・ガバナンスの改善と投資効率性の改善が同時に達成される。そのプロセスは、条件付保守主義を通じて経営者と投資家との間の情報の非対称性を緩和して、的確な収益性や継続期間についての情報を共有することができるようにすることである。加えて、条件付保守主義の機能は、実施予定プロジェクトの収益性に関する早期シグナルを提供することであることも明らかになった。 特に重要な論点として、日本企業の人的資源管理および人的資源投資と条件付保守主義の関連性を取り上げた。人的資源投資は通常の生産関数を前提とすると、設備投資等と相違するように感じられるものの、その規模と重要性から通常の投資と変わらない。それ故条件付保守主義を通じた情報の非対称性の是正は、投資効率の改善に欠かせないと結論づけた。 今後は文献研究を通じて明確となった実証命題を、データを通じて明らかにして行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画は組織と経営者属性の多様性の拡大が租税負担削減行動に与える影響というものである。今年度は、租税負担削減行動との関係性についての検証がやや不十分であった。条件付保守主義は経営者属性と深く関係することは先行研究より示されている。租税負担削減行動との関係について、今後研究計画を進めていくことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は無条件保守主義と条件付保守主義について、および人的資源投資との関係性についての検証を進めた。今後はこの研究成果をアップデートして実証研究を進めることと、租税負担削減行動との関係性についての検証に進めていく。
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