研究課題
基盤研究(C)
ソーシャル・サポート研究においては伝統的に、受け手のwell-beingに対するサポートの有効性が主に検討されてきた。しかし、サポートは送り手(提供者)と受け手(受領者)による対人的な相互作用あるいは資源の交換として捉えることができる。従って、受け手にとっての有効性が最終的な問題になるとしても、そのプロセスにおいては、受け手だけでなく送り手側の要因にも注目する必要がある。従来より、ソーシャル・サポートの効果に関する一部の論考においては、サポートの送りが結果的に受け手に対してネガティブな影響を及ぼしてしまう場合の問題点が指摘されてきた。そこで考察の対象となってきたのは、サポートの潜在的な受け手に対する送り手側の誤解や先入観、対応経験の欠如、ネガティブな感情の生起などである。本研究課題では、これらの問題をサポートの適切な提供に寄与する送り手側の個人的要因という観点から捉え直し、対人援助職を目指す学生がどのような経験を経てそれらを獲得し、様々な対人関係に生かしていくかについて探究することを目的として設定した。研究の具体的な実施にあたり、サポートの受領や提供とソーシャルスキルの関連を扱った先行研究を概観し上記の問題意識に立った研究の蓄積が乏しいことを改めて確認した。その後、記述的な情報収集を経たサポート提供に関わるスキル等に関する予備的な測定尺度の作成、尺度の信頼性・妥当性の検討等を進める予定であった。しなしながら、平成29年度に引き続き平成30年度も、勤務先業務との関連から調査の実施に係わる活動に十分なエフォートを割くことができず、当初予定していた研究成果を上げることのできる目処がつかなかった。そのためやむを得ず、年度途中に本研究課題に係る交付の取消を申請し受理された。そのため、本年度は研究そのものを実施しておらず、所期の実績を挙げるに至っていない。