研究課題
基盤研究(C)
強迫症の治療には,暴露反応妨害法を含む認知行動療法が有効である。しかし,認知機能の低下や自閉スペクトラム症の併存や、それに伴う実行機能の低下が、認知行動療法の治療効果に影響を与えている可能性がある。強迫症の治療効果に影響を与える要因を調査した結果、実行機能の機能の一部である作業記憶と、自閉スペクトラム症の特性を示すコミュニケーション能力の低下が、強迫症の認知行動療法に対する効果を低下させる可能性が示され、自閉スペクトラム症を併存する強迫症の実行機能に着目した心理プログラムを開発の助けとなる知見を得た。
実行機能の一部であるワーキングメモリを測定する「語音整列」と自閉症スペクトラム指数の「コミュニケーション」の結果から、強迫症の認知行動療法の治療効果を推定できる可能性が示された。一方、抑うつと不安の重症度、強迫症のサブタイプ、および性別は強迫症の重症度の変化に影響していなかった。治療中に視覚補助を行うなど、不十分なワーキングメモリを補うことは治療に有益であり、臨床家がより効果的な治療方針を選択するのに役立つ可能性がある。
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