研究課題
基盤研究(C)
社交不安症は人前でのスピーチや会話といった対人場面における著しい恐怖や不安を特徴とした精神疾患である。社交不安症に対する精神療法の中心であるエクスポージャー技法の治療効果を最大化するために,本研究は,利他的・向社会的行動をエクスポージャーと併用することの効果を検討し,マインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想が社交不安症状に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。実験の結果,マインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想は特性的な社交不安の程度を弱めることが明らかにされた。さらに,向社会性を高める要素が重視される慈悲の瞑想は,ボディスキャン瞑想や注意訓練よりも社交場面からの回避を弱めることが明らかにされた。
マインドフルネス瞑想や慈悲の瞑想が特性的な社交不安を減弱させることは明らかにされたが,状態不安の変化はみられなかった。これらのトレーニングを行うだけでは不十分であるが,エクスポージャーと併用することによってエクスポージャー中の行動が変わり,効果が高まる可能性が示されたことは,本領域における研究を活性化する学術的意義とともに,社交不安症に悩む患者への治療効果を高める臨床的・社会的意義がある。
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認知療法研究
巻: 11 ページ: 32-41
https://www.kanai51.net/
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