研究課題/領域番号 |
16K04605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
倉石 一郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10345316)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 教育の標準化 / 学校機能の福祉化 / 逆接的性格 / 公教育の普及・完全化 / 特殊化 / 20世紀シティズンシップ / 創発的包摂 / 包摂と排除 / 包摂の同心円モデル / 包摂その一歩手前 / ジョルジョ・アガンベン / 剥き出しの生 / ニクラス・ルーマン / 同心円モデル / 福祉教員 / 常設地域学校 / ビジティング・ティーチャー / 教師の労働の再定義 / 社会問題の教育化 / 平準化と統制 / 形式主義と実質主義 / 長期欠席(不登校)対策 / 教育福祉 / 教育消費者 / 福祉-家族レジーム / 教育機会確保法 / ニューヨーク公教育協会 / 標準化 / 福祉化 / ストリートレベルの官僚制 / 社会的なるもの / アレント / ラバリー / 教育社会学 |
研究成果の概要 |
本研究では教育の標準化をノーマルとされる就学形態や学習形態を一定の国・社会領域内のすべての子どもにあまねく行き渡らせることと捉えた。米国と日本の事例の比較検討から明らかになったのは、標準化すなわち公教育の完全普及が最終局面で対処せねばならないのが、貧困、差別、障害、保護の欠如、経済的搾取、移民や難民といった極めて「特殊」な条件を抱えた子どもたちだった点であった。標準化は結局のところ個別条件に応じて「特殊化」せざるをえないという逆説的な性格をもつ。この逆説こそが標準化を学校機能の福祉化と結びつける契機であり、その理解の補助線として20世紀シティズンシップ、創発的包摂といった概念の有効性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的・社会的意義は、現在高い社会的関心を集めている教育を通じた社会的包摂や格差解消の施策・民間事業に対して、自らの施策や事業の前提あるいは基盤をなしている条件について反省を促し、質の向上をはかるポジティブフィードバックを発生させることにある。米国や日本において、教育と福祉の狭間にたち、公教育の普及・完全化(標準化)の最終局面に尽力した人びとの事績の再解釈によって、意図せざる形でその提供する援助が個への分断化を生み、社会性や公共性が侵蝕された。その過程に学ぶことで得られるのは、現代社会において社会性・公共性に開かれた真のシティズンシップや包摂にむけての構想力と想像力である。
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