研究実績の概要 |
最終年度の取り組みとしてこれまでの成果を踏まえた報告を兼ねた「2024早稲田幾何学的トポロジー研究会」(2024年3月6日、7日)を実施した。J.Dydak (University of Tennessee, USA), M. Levin (Ben-Gurion University at Nedev, Israel)はオンラインによる参加であったが、coarse幾何学、幾何学的群論及び次元論の最新の展開について講演と議論を行った。これまでの研究過程で、 (1)群作用を踏まえた漸近次元と(いわゆる位相)次元論の展開、(2)コホモロジー次元を利用した特異なコンパクト距離空間の構成と特徴付け、(3)測地線空間とその境界の議論の一般化 が必要との認識に至った。本研究集会では、(1)と(3)に関連する興味深い進展の報告があった。特に、平均次元のLindenstraussの定理を次元論の立場で解明したLevinの講演は出色であり、今後の進展が望まれる。 研究期間を通じて特異な理想境界を特徴付けるためにコホモロジー次元を利用することを考え、(2)に関連して2023年度RIMS共同研究「一般トポロジーとその関連分野の進捗」(6月5ー7日)で報告を行った。そこでは最も難解とされているBoltyanskii-Kodamaの例を詳細に調べ特徴付けをまとめた。また、ある程度良い性質をもつことが期待できる理想境界の位相的性質を調べるという課題設定をあげ、局地的にホモロジー群が自明である空間の概念を導入し、ANR理論との対比を調べた。結果は2019年度に論文を発表した。これに関連した結果を含めて2019年度に行われた国際研究集会で発表した。
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