配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究実績の概要 |
本研究課題最終年度に当たる平成30年度は, これまでの研究に引き続き圧縮性粘性流体のモデル方程式系を包括するような一般的な対称双曲・放物型偏微分方程式系を1次元半空間上で考察し, 境界層解と呼ばれる定常解の漸近安定性及び非定常解の定常解への時間漸近率に関する研究に取り組んだ. 過去の研究においては, 単独の粘性保存則に現れる縮退定常解への時間漸近率が考察されており, 研究代表者らの研究 ('09) や川島・倉田 ('09) の研究により, 代数的時間漸近率の臨界指数について解析された. 特に川島・倉田 ('09) の結果において臨界指数は5であることが数学的に証明された. すなわち, 代数的重み付きL2空間において重み指数が5より小さいならば, 縮退定常解は漸近安定となり代数的時間漸近率が求められた. 一方で重み指数が5より大きくなると, 方程式の消散構造が変化することが示された. このような結果を踏まえて, 本研究では関連する連立粘性保存則系に対して縮退定常解への時間漸近率を重み指数が5より小さい場合について導出した. 単独の場合の過去の結果を鑑みると本結果は最適であると推察される. 証明の鍵は移流項の対称行列Aと粘性行列である正定値対称行列Bに対して, 行列BとAの積行列の固有値の符号の評価導出と, 行列A及びBで定まる2次形式の同時標準化にある. このような工夫を経て方程式系を対角化することにより, 固有値0に対応する方程式に単独方程式の解析の際に考案されたHardy型不等式の適用が可能となり, 臨界指数での時間漸近率の導出が可能となった.
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