研究課題/領域番号 |
16K05364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
鵜沢 報仁 関西学院大学, 理学部, 研究員 (50378931)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 一般相対性理論 / 超弦理論 / 宇宙論 / 超重力理論 / 高次元重力理論 |
研究実績の概要 |
2022年度は曲がった背景時空における摂動弦の経路積分法の定式化を弦幾何理論の観点から行った。弦幾何学理論は、弦多様体上の経路積分で定式化される、非摂動的効果を含む弦理論の候補として知られており、この理論の平坦背景からの揺らぎを考えることにより摂動的超弦の経路積分が超リーマン面の係数を含めて導出されることで注目を集めている。また、弦幾何学理論における場の配位は、10次元の超重力理論に現れるすべての場を含み、弦幾何理論の無限個の運動方程式は、超重力理論の有限個の運動方程式に帰着することが示されている。従って、弦背景上の摂動弦の経路積分は弦幾何理論でそれに対応する場の配位の周りの揺らぎを考慮することにより導かれることが期待される。更に、弦の摂動論では、各背景について1つの理論が定式化される一方、非摂動弦理論は平坦及び非自明な背景の両方に対する摂動的弦理論が1つの理論から導出されることが本研究により明らかになり、その超対称性理論への一般化も実現することができた。この一般化は理論にタキオンを含まないようにするためにも必要な作業である。この観点から、2022年度は、弦幾何学理論において、ボソン弦と超弦背景のスカラー摂動を考慮することによりスカラーゆらぎの2点相関関数から弦背景上の摂動弦に対する経路積分の定式化に成功した。これらの研究により、弦幾何学理論から摂動弦を弦の結合定数の任意の次数まで導き出すことがtree levelで可能となり、弦幾何学理論が経路積分の古典的な極限によって定義できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、本研究課題の目的である「超弦理論の動的解をブラックホールや宇宙論に応用し、解の持つ物理的な性質を一般相対性理論の観点から明らかにする」ことは現在まで概ね順調に進んでいる。他方、4次元時空が加速膨張する高次元Einstein方程式の時間依存解の構築は課題として残っており、具体的なモデルを用いてその研究を現在遂行中である。
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今後の研究の推進方策 |
初期宇宙の進化に関わる物理現象、特にインフレーションを実現させるために、4次元時空が加速膨張する超弦理論の解を導出する。超弦理論はその理論の持つ特性から、背景場について単純な仮定を課すだけでは、4次元宇宙が加速膨張する高次元Einstein方程式の解を得ることは難しいことが知られている。そのため、超弦理論で生み出される量子効果、即ち高次曲率項や場の高次補正を加えた上で加速膨張を実現させることを検討する。この方針で解が得られない場合、4次元加速膨張宇宙を導くための物質場及び余剰次元空間の幾何学的な条件を高次元Einstein方程式から読み取り、背景時空に課す対称性をある程度制限した上で超弦理論において許される物質場を導入して解を求める。この方法でも4次元加速膨張宇宙を実現出来ない場合は、より特殊な余剰次元空間の下で高次元Einstein方程式の解を導出するか、4次元時空の計量に関する仮定を変更し解を作ることを試みる。これらの解析を行う過程で、加速膨張解が複数得られれば、それらの4次元時空、余剰次元空間、背景場の時間進化の特徴について詳しく調べ、宇宙模型を提示する。
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